スタートアップ企業で働く・働きたいエンジニアのキャリア戦略
スタートアップ企業で働くエンジニアのキャリアはどうしたらいいか、みたいな話題をたまにお聞き頂くことがあるので、私なりに整理してみました。
スタートアップ企業のエンジニアの仕事
スタートアップではエンジニアの仕事は一言で表せます。
それは、プロダクトを作ることです。
プロダクトを作る仕事はプロダクトの種類やフェーズ、またそれにどのように向き合うかによって大きく変わると考えています。キャリアもこれに左右されます。
キャリアと言っても履歴書や経歴書に現れる表面的なキャリアと、実際に自身が何を出来るかという技術面でのキャリアの二種に分かれます。
表面的なキャリア
表面的なキャリアは、厳しい話ですが、会社の成長に掛かっています。少数の会社ですから、自分の成長、コミット、パフォーマンスに掛かっていると言っても過言ではありません。
スタートアップ企業は圧倒的成長をしなければただの零細企業です。もし転職するとき、〜でCTOをしていました、開発責任者をしていました、と言っても社名が伝わらなければ、表面的なキャリアとしては意味をなしません。
技術面でのキャリア
技術面でスタートアップ企業に勤めることは大手企業に勤めるより優位なケースが多いです。
技術面での懸念点
技術面でスタートアップ企業で働いていて、不利にになりそうなケースを書き連ねてみます。
- Ruby on RailsでMVC構造でライブラリを使ってサイトを高速に作る
- WordPressをカスタマイズしてサイトを高速に作る
- CodeIgniterやFuelPHPなどの軽量フレームワークで最小限の機能で価値ある製品を作る
上記に上げたことスタートアップ企業のよくある業務内容です。スタートアップでの仕事はプロダクトを作り、広め、売る事だと思います。そのために、リーンに開発を進めます。また、OSS資産を活用します。このため、上記に上げたような内容が仕事になる事が多いです。
この中に、技術的な新しい経験というのはあまりありません。リーンな作り方やアジャイル駆動開発については経験出来るかもしれませんが、技術的なスキルセットの範囲は広まりません。
技術面での強みの出し方
少なくとも3つの側面で強みを手に入れる事が出来ます。
- 技術へのフォーカス
- 技術選択の自由さ
- ゼロ〜スケールまでの全体の経験
スタートアップ企業はそのために非常に魅力的な選択肢だと思います。仕事はプロダクトを作ること。そこにフォーカス出来ます。
プロダクトを作る技術を自由に選ぶことができます。
仕事は本当に簡単なプロトタイプの開発から始まり、スケールに伴って機能が増え、インフラの重要性もまし、扱う技術の幅が広がり、また、深まっていきます。
それらを技術選定〜開発〜運用まで、フルスタックで経験することが出来ます。
おわりに
スタートアップ企業は技術的なキャリアを磨く上で非常に魅力的な選択肢だと思います。表面的なキャリアは後から付いてくる(会社を有名に出来れば)、もしくは、走りきった後に、技術面を評価してくれる大手企業に入るなどで手に入れることも容易かと思います。
ただ、プロダクトのスケールが出てこないまでの期間では一般的な技術で品質面は考慮せず兎に角動く物を作るということになりがち(かつそれが正解)です。ここで終わってしまうとせっかくスタートアップに入ったのにとても勿体ないです。
最近は弊社でもやっととても良い経験、今後のスキルの強みになると思う仕事が産まれてきました。一例ですが、SPAでReact+flux、インフラコスト削減とスケールのためAWS Spot Fleetの活用、プログラムの構造解析器を書く、OSSにコミットする、など。
1年前にはこれらはありませんでした。(Dockerだけは使っていましたが)。プロダクトがスケールしてきたからこそ機能を増やしたり、スケールさせるための技術を導入したり、R&D領域を始める事が出来るようになりました。
エンジニアのキャリア戦略というタイトルの記事ですが、結論はキャリアのためにはプロダクトの成長が不可欠になってしまいました。
補足
今回、キャリア戦略というタイトルのため本文での記載を省きましたが、スタートアップ企業ではスピード感やユーザと直接ふれ合うことによる学びや喜びなど、かけがえのない体験を得ることも出来ます。これだけでもスタートアップ企業を選ぶメリットはあると思います。
また、色々な社会的な課題に向き合う企業の中から、共感した企業を選ぶことは、人生の大きなやりがいになると思います。
